会社からの帰り道。
電車のシートが空いてたので、すかさずお尻を埋めた。
隣りの席は空いていて、帰宅ラッシュ前の少し穏やかな時間帯だったかも。
次の駅で私のとなりの空席を女の子が埋めた。
ジーンズにジャンバー、狭い席にドスンと座った拍子に
私のももを女の子のお尻が押しやった。
非常に不愉快だ。
私は読む本が無くて携帯でダウンロードした動画を観ながら
前のめりに携帯をいじる女の子をチラチラと見てた。
やはり不愉快極まりない。
二駅くらい過ぎた頃だろうか、鼻をすする音がした。
花粉症か?
動画を観ながら隣りを覗きみた。
シートに背を預けず前のめりに俯くメガネのレンズに、大きな水滴が揺れていた。
ん?なにそれ?
水滴は一粒がふた粒になり、
手元のLINEの画面は入力が止まったまま、
男の子が写る待ち受け画面と頻繁に入れ変わってた。
その間にも粒は増え、キラキラしながら流れて一つになったりしてた。
ふいにメガネを外してジャンバーの素手口で目を拭いはじめた。
その合間にもLINE画面と待ち受け画面が入れ替わる。
何だか、さっきまで不愉快だった気持ちが萎えた。
バックの中のティッシュを渡したくなった。
大きなお世話だねぇ。
私も若い頃、そんな事があったかも知れない。
忘れたけど。
なんかね、
人生長いからいろんなことがあるよ
と、
その女の子に言いたくなった私がいた。
ははは
偉そうで笑えるねー
過ぎてきた自分を認めてもいいよね?
って、思ったりした。